姉川の「ひゃあらんさん」祭り
2011年05月17日
神埼市デジタルミュージアム かんざき@NAVI at 16:13 | Comments(1) | お祭り
先月4月15日、16日、今月5月8日の3日間、「ひゃあらんさん」を取材する為、神埼の姉川地区にお邪魔してきました。
ひゃあらんとは、佐賀弁で川に入らない(ひゃあらん)と言う意味で、一般的に子供たちが川で水難事故に会わない様にとお祈りをするお祭りです。
ひゃあらんとは、佐賀弁で川に入らない(ひゃあらん)と言う意味で、一般的に子供たちが川で水難事故に会わない様にとお祈りをするお祭りです。
姉川地区の堀とひゃあらんさん
ここ姉川地区には中世から近世に掛けて姉川氏の居城があり、その城址は国指定の史跡となっています。この城址の特徴は、周囲を堀で囲まれた大小の島で出来ている城館跡という点です。
姉川地区のあちらこちらにはクリーク(堀)があり、また地区中央を中地江川が流れていることから、水と接する機会も多かったはずです。
そこで、子どもたちの無事を祈り、昔から「ひゃあらんさん」を行っていたのだろうと考えられます。
3日間の取材
先ほど3日間取材をしたと書きましたが、これには理由がありまして・・・。
この姉川地区は大きく4つの地区(上分、下分、東分、西分)があり、その地区の中でも小集落に分かれています。
今回お伺いした所は、上分の二の折、五の折、それから、下分の合計3ヶ所で、それぞれが別の日にひゃあらんさんを行いました。それで、3日間必要だったのです。
ちなみに、「同じ地区なので、同じ日に一緒にしないんですか?」と尋ねたところ、「理由や経緯は分からないけど、昔から別々にしている。」と言うことでした。
二の折のひゃあらんさん
二の折のお祭りは当番の家で行われ、大人も子供も堀に入らないようにと、参加者が御神酒を頂いて、お食事をされるという内容でした。
参加者は女性と子供たちだけだったので不思議に思い尋ねたところ、「特に女性に限定しているわけではなくて、昔は男性も参加していたけど、この地区はお酒を飲まない男性が多かったので、自然と女性だけが集まるようになった。」と言うことでした。
料理についてお伺いした所、竹の子の煮しめは必ず作るそうです。と言うのは、かわうそが子供を川に引きずり込むと言う謂れがあり、竹の子は硬いので、かわうその歯が立たないようにという事で竹の子を食べると教えて頂きました。
最後に、あまった御神酒は自宅裏の川に撒くそうです。
五の折のひゃあらんさん
五の折では、以前は当番の家におかずを一品持ち寄って行われていました。当時は子供の数も多く、歌ったり踊ったりと学芸会のような賑わいがあったそうです。また、藁ツト(藁で作られた包み)に3つ程握り飯を包み、それを竹に括りつけ、川路に指して奉っていたそうです。
しかし、時代と共にお祭りの様子も変わってきたとおっしゃっていました。
元々地区には10数軒程の家しかなかったので各家の持ち回りで行われていましたが、現在は20軒強あるので、とても当番の家に人が入りきれないという理由もあり、公民館で行われています。
また、週末でなければ人の集まりが悪いと言う事で、現在は15日に近い土曜日か日曜日に日程が変わりました。先ほどご紹介した藁ツトも作られる家は今はないそうです。
現在は、まず最初に天満宮にある観音さんに御神酒をあげ、「ひゃあらん、ひゃあらん」と言って御神酒を頂くそうです。その後、みなさんで食事会をされていました。
下分のひゃあらんさん
最後に下分のひゃあらんさんをご紹介します。
下分は姉川下分フェスティバルと言うイベントの一環としてひゃあらんさんが行われています。上述の2つとは若干異なり、朝にひゃあらんさん祭りをして、その後、老若男女問わず全員が参加するグラウンドゴルフ大会が開催されていました。
と言うのも、元々下分のひゃあらんさんは、久留米の水天宮にお参りに行った後、公民館で大人たちが寄ってお篭りをするという行事だったのですが、参加者が少なくなり途中で中断した時期があったそうです。
しかし、公民館が建て変わったことを契機に次の世代への引継ぎや、地域コミュニティを維持する為に地区住民の誰もが参加できるような現在の形で復活したそうです。
ごっくうさん(蒸したもち米を円錐形に盛ったもの)、ちくわ、かまぼこ等を藁ツトで包み、御神酒と一緒に竹に括りつけ、挿すということは最近始めたそうです。
お祭りは参加者が橋に挿した竹の前に集まり、全員で二礼二拍手一礼をすることから始まります。この時、大人は、子供たちが水難事故に会わないようにとお祈りをするそうです。
その後、御神酒、ちくわ、かまぼこ等を頂きます。
区長さんが子供たちに今日のお祭りの意味を説明していましたが、分かったかな??
そして、藁ツトを中地江川に流して、川の神様に奉納です。
以上3つの地区のひゃあらんさんをご紹介しまいた。
隣同士の地区で同じ行事なのですが、こうも違いがあるのかと言う驚きと、古くからある行事を次の世代に引き継いでいくことの難しさを改めて感じました。
取材にご協力頂き、ありがとうございました!
この記事へのコメント
私は、佐賀市内に住んでいるので、どちらかといえば「松原神社のひゃらんさん」がなじみがありました。
写真を見ると地域の子供たちが大勢参加して頼もしいですね。
昔は、川にちかづくと「しりこだま」抜かれると言われて、河童が居るから川に近づくなと暗に注意される時期でした。
小学校等の「プール開き&着衣訓練」等の行事と一緒に行う等で引き継いで生きたい行事ですね。
*参加者にこのHPをお知らせして感想等を書き込んでもらえればいいですね。
松原神社のひゃらんさん)
http://sagajinjya.sagafan.jp/e90171.html
写真を見ると地域の子供たちが大勢参加して頼もしいですね。
昔は、川にちかづくと「しりこだま」抜かれると言われて、河童が居るから川に近づくなと暗に注意される時期でした。
小学校等の「プール開き&着衣訓練」等の行事と一緒に行う等で引き継いで生きたい行事ですね。
*参加者にこのHPをお知らせして感想等を書き込んでもらえればいいですね。
松原神社のひゃらんさん)
http://sagajinjya.sagafan.jp/e90171.html
Posted by よねりん at 2011年05月17日 17:31